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外国人雇用

技能実習生の宿泊業受け入れガイド|対象業務・期間・注意点を解説

宿泊業で外国人技能実習生の受け入れを検討する企業からは、次のような声が多く寄せられます。

  • どの業務が実習の対象になるのか分からない
  • 宿舎や生活支援体制に何を準備すべきか不安
  • 受け入れ後に長期的に定着してくれるのか心配

本記事では、宿泊業における技能実習制度の概要から、受け入れ条件・業務範囲・注意点を体系的に整理しました。さらに、特定技能への移行や制度動向にも触れ、安心して制度を活用するためのポイントを解説します。制度の趣旨を理解し、適切な体制を整えることで、実習生と企業双方にとって実りある受け入れを実現できます。

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宿泊業における技能実習制度の概要と制度目的

宿泊業における技能実習制度の概要と制度目的

技能実習制度は、「開発途上地域等への技能移転」を通じて国際貢献を図ることを目的に、1993年に創設されました。当初は製造業や建設業が中心でしたが、現在では宿泊業も対象職種として認められており、外国人技能実習生を受け入れることが可能です。

宿泊業は、日本政府によって技能実習2号移行対象職種に指定されており、フロント業務や客室清掃、接客サービスなど一定の範囲に限定された作業について、外国人技能実習生が従事できます。これは、訪日外国人旅行客の増加や地域の人材確保の難しさを背景に、2018年より追加されたものです。

制度の運用においては、「技能実習計画」に基づいた適正な指導・監督体制が求められ、監理団体による継続的な指導や生活支援、法令順守の徹底が義務付けられています。また、技能実習生には、技能だけでなく、日本の生活様式や労働慣行に関する理解を深めるための教育機会も必要とされます。

つまり、宿泊業で技能実習制度を活用する際は、単に「人手を補う」という発想ではなく、制度の本来の目的である「人材育成と技能移転」を正しく理解し、それに沿った受け入れを行う必要があります。

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技能実習生の受け入れ条件と要件

受け入れ可能な事業所の要件(許可・常勤数など)

宿泊業で外国人技能実習生を受け入れるには、まず受け入れ企業(実習実施者)側の体制が制度上の基準を満たしている必要があります。

主な要件は以下のとおりです。

  • 過去に労働関係法令違反がないこと
  • 適正な宿泊業の許可を受けて営業していること
  • 常勤職員が一定数以上配置されていること(1人の技能実習生につき、常勤職員5人以上が目安)
  • 実習生に対して適切な技能指導ができる体制があること

特に「技能実習指導員」や「生活指導員」の配置が求められており、それぞれに適した経験やスキルが必要です。さらに、宿泊施設そのものが安全・衛生面で問題がない環境であることも確認されます。

受け入れ人数の基準と目安

技能実習生を受け入れられる人数は、事業所の常勤職員数に応じて上限が設定されています。制度上は以下の基準が用いられています。

  • 常勤職員数30人以下:実習生最大3人
  • 常勤職員数31~40人:実習生最大4人
  • 常勤職員数41~50人:実習生最大5人

この人数基準は団体監理型の場合の一例であり、受け入れ形態や実習レベル(1号~2号など)によっても変動があります。上限を超える場合や特例申請を希望する場合には、監理団体との相談と事前確認が不可欠です。

宿泊業での実習可能な業務内容(接客、清掃等)

宿泊分野で技能実習が可能な業務は、厚生労働省および出入国在留管理庁が明確に定めています。現在の制度では以下のような対人サービスに該当する作業が対象です。

  • フロント業務(チェックイン・チェックアウトの対応)
  • 客室清掃・ベッドメイキング
  • 館内設備の点検・清掃
  • 宿泊客への基本的な案内や接客

ただし、業務の中で高度な言語スキルや責任を要する役職的業務(例:予約管理や苦情対応)は対象外とされています。実際に実習に従事する業務内容は、「技能実習計画」に具体的に記載し、監理団体や関係機関の確認・認定が必要です。

 

技能実習計画の策定と申請フロー

技能実習生の受け入れには、技能実習計画の策定と、出入国在留管理庁への認定申請が必須です。この計画には、具体的な実習内容や期間、指導体制、評価方法などを詳細に記載する必要があります。

申請の主な流れは以下の通りです。

技能実習計画の申請プロセス

申請準備段階では、監理団体のサポートを受けながら「技能実習計画」を作成し、外国人技能実習機構(OTIT)による審査と認定を経て、在留資格の申請へ進みます。認定までに通常1〜2ヶ月程度を要するため、余裕を持ったスケジュール管理が重要です。

※ OTITは監理団体の許可や実習計画の認定、監督指導、不正の是正、技能実習生からの
申告受付など、制度全体の品質管理を担う機関です。▶ 参照外国人技能実習機構

宿泊業で受け入れる際の注意点と準備すべき体制

指導員・生活指導員の配置義務

技能実習制度では、技能移転を目的とする以上、適切な指導体制が必須です。宿泊業で技能実習生を受け入れる際には、以下の担当者の配置が義務づけられています。

  • 技能実習指導員:実習業務に関する知識と経験を持ち、日々の業務指導を行う責任者。
  • 生活指導員:住居や通勤、地域生活の支援を担う担当者。

特に宿泊業は勤務形態がシフト制となる場合も多く、実習生が孤立しないよう、複数の指導者で支援体制を組む工夫も必要です。指導内容は、業務面だけでなく、生活面や日本の文化習慣に関する支援も求められます。

宿舎・生活環境の整備と注意点

実習生が滞在する「宿舎」は、法律上、一定の条件を満たすことが求められています。基準に違反すると、制度の適正な実施に支障をきたすと判断され、受け入れ停止措置などの行政指導が行われる可能性もあります。

具体的には、以下の点に注意してください。

  • プライバシーの確保:1人あたりの居住面積が一定以上で、個室が望ましい。
  • 防火・衛生設備:火災報知機・消火器の設置、キッチン・トイレ・浴室の清潔さ
  • 通勤手段の安全性:徒歩圏内または公共交通機関で通える範囲。
  • 適正な家賃設定:労働基準法に基づき、給与から過度な天引きがないこと

とくに「宿泊業の施設敷地内に宿舎を設ける場合」は、騒音や業務との区分管理、十分な休息が確保されているかを事前に確認しておく必要があります。

外国人技能実習生への教育と日本語支援体制

実習生の多くは来日時点で日本語力が十分ではないため、教育・日本語支援の体制が実習の質や定着率に直結します。制度上、技能実習1号の入国初期には、集合形式での講習(160時間以上)が義務づけられています。

宿泊業では接客業務が含まれるため、より高度な会話能力が求められるケースも多く、企業側で継続的な学習支援を行うことが重要です。

例として、以下の取り組みが効果的です。

  • 現場で使う日本語の動画教材や音声マニュアルを整備
  • 指導員による毎日のロールプレイ・復習の時間設定
  • 外部の日本語教師・研修機関との連携支援

また、宿泊業界の専門用語や敬語表現など、外国人にとって難解な部分を丁寧に指導する体制が、顧客満足や本人の適応力にも好影響を与えます。

よくあるトラブルと未然に防ぐポイント

宿泊業で技能実習生を受け入れる際に、企業と実習生の双方にとって課題となるトラブルの傾向も見られます。未然に防ぐためには、事前の説明と実習計画に基づいた運用が不可欠です。

よくある事例としては以下のようなものがあります。

  • 実習内容が計画と異なっていた(例:清掃中心のはずが配膳業務も含まれていた)
  • 日本語での指示が不明瞭で誤解を生んだ
  • 宿舎環境が悪く、健康被害・離職に繋がった
  • 指導員が実習生を放置し、支援が届かなかった

これらを防ぐためには、実習計画書に業務範囲・勤務体制・休憩時間を明記し、定期的に監理団体と実施状況を確認する仕組みが重要です。さらに、実習生との信頼関係を築くコミュニケーションの場を設けることも、長期的な安定運用に寄与します。

技能実習から特定技能への移行と今後の見通し

移行対象となる宿泊業務と条件

宿泊業は「特定技能1号」の移行対象分野の一つに指定されており、一定の条件を満たす技能実習2号修了者は、特定技能1号への移行が可能です。対象となる業務は、旅館・ホテルなどの宿泊施設における以下の業務が中心です。

  • フロント業務
  • 予約受付
  • 接客・案内
  • 客室清掃
  • レストランサービスなど

ただし、移行にあたっては、「宿泊分野の業務区分」に適合していることが求められ、技能実習計画に沿って適正に修了していることが前提となります。また、監理団体や実習実施者による報告義務もあり、制度上の整合性が重要です。

技能実習2号修了後のキャリアパス

技能実習2号を修了した外国人は、特定技能1号へ移行することで、より実践的で長期的な在留・就労が可能となります。特定技能1号の在留期間は最大5年間で、更新も認められています(ただし永住権への道は原則ありません)。

このステップは、技能実習制度と異なり「労働力としての受け入れ」が認められている点が特徴です。したがって、宿泊業界においても次のようなメリットがあります。

  • 即戦力としての活用が可能(業務範囲が広がる)
  • 長期雇用による人材育成がしやすくなる
  • 言語・文化への適応が進んでいる人材が定着しやすい

ただし、実習制度とは制度趣旨が異なるため、在留資格や就業範囲の管理を厳格に行う必要があります。

特定技能で必要な試験と準備事項

特定技能1号へ移行するには、以下の2つの試験に合格する必要があります。

  • 宿泊分野特定技能評価試験(筆記・実技):業務知識と実務能力を問う
  • 日本語能力試験(N4以上)またはJFT-Basic:日常会話レベルの日本語力を証明

技能実習2号を優良に修了している場合は、上記の技能評価試験が免除される制度もあります。
特定技能への移行

また、技能実習2号修了後の特定技能への移行を見据えることで、中長期的な人材戦略にもつなげることができます。適切な制度運用と実習生との信頼関係構築を通じて、外国人材が定着しやすい環境を整えることが、企業側にとっても大きな成果につながります。

まとめ|制度に沿った受け入れで宿泊業の安定運営を

宿泊業における外国人技能実習生の受け入れは、接客・清掃・フロント業務など、現場での即戦力として期待される場面が多くなっています。制度の趣旨である「技能移転」を正しく理解した上で、受け入れ要件の確認、業務内容の整理、生活支援体制の整備をしっかり行うことが重要です。

また、技能実習2号修了後の特定技能への移行を見据えることで、中長期的な人材戦略にもつなげることができます。適切な制度運用と実習生との信頼関係構築を通じて、外国人材が定着しやすい環境を整えることが、企業側にとっても大きな成果につながります。

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ABOUT ME
監修者:新田悟朗
【オープンケア協同組合 監事】 平成28年11月にオープンケア協同組合を設立。 監理団体としての許可、登録支援機関の登録を経て、現在は監事として従事している。協同組合の信頼性を担保し適切な運営がなされているか監査する。日本語教育機関の運営からグローバルな視点を常に持ち続けることで、日本が必要とする地域発展や多文化共生の考え方を中心として、外国人人材に関し専門的に活動している。