日本で技能を学びながら働いてきた技能実習2号の修了者は、特定技能1号へ移行することで、より安定した雇用環境のもと長期間働くことが可能になります。特定技能1号は、日本が慢性的な人手不足に直面している16の産業分野で即戦力として外国人材を受け入れるための制度です。
技能実習2号を修了すると、一部の条件を満たせば技能試験や日本語試験を受けずに特定技能1号へ移行できる特例措置があります。しかし、在留資格の変更には適切な手続きや雇用先の確保が必要となるため、事前にしっかりと準備しておくことが重要です。
本記事では、技能実習2号から特定技能1号へ移行するための具体的な条件や必要な試験、申請手続きの流れ、そして移行後のキャリア展望までを詳しく解説します。スムーズな移行を実現するためのポイントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
技能実習2号修了後に特定技能1号へ移行する理由とは?
技能実習2号を修了した外国人が特定技能1号へ移行する理由として、以下の点が挙げられます。
これらの理由から、技能実習2号を修了した多くの外国人が特定技能1号への移行を希望しています。
特定技能1号の目的と技能実習2号との関係
特定技能1号は、日本の人手不足解消を目的とした在留資格であり、技能実習制度とは異なる目的を持っています。
項目 | 技能実習2号 | 特定技能1号 |
目的 | 技能・技術の移転 | 人手不足の解消 |
在留期間 | 最長3年間 | 最長5年間 |
試験の有無 | 不要 | 技能試験・日本語試験(※免除の場合あり) |
転職の可否 | 原則不可 | 同じ業種内で可能 |
賃金水準 | 企業の技能実習計画に依存 | 日本人と同等以上 |
技能実習制度は母国への技術移転を目的としているため、長期的な就労には制限があります。一方、特定技能1号は日本国内の人手不足解消を目的としており、即戦力となる外国人材の雇用を促進するための制度です。
そのため、技能実習2号修了者は特定技能1号へ移行することで、より自由度の高い働き方を実現し、日本でのキャリアを継続することが可能になります。
技能実習2号を修了するための要件と確認ポイント
技能実習2号を修了するためには、一定の条件を満たし、適切な評価を受ける必要があります。 修了要件を満たさなければ、特定技能1号への移行が認められないため、事前に要件を確認し、計画的に進めることが重要です。
特に、技能実習2号を「良好に修了」することが、特定技能1号への移行の前提条件となるため、技能実習生は日々の業務を適切に遂行し、企業や監理団体からの評価を得る必要があります。
では、具体的にどのような条件を満たす必要があるのかを見ていきましょう。
良好に修了するために必要な条件
技能実習2号を良好に修了するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 技能実習2号の規定期間(通常2年または3年)を満了すること
- 技能実習2号は、原則として1年目の技能実習1号を修了した後に移行し、最長3年間の実習が可能。
- 途中で実習を中断した場合は、特定技能1号への移行が認められない可能性がある。
- 技能検定または評価試験に合格すること
- 技能検定(基礎級または随時3級)、または特定の評価試験に合格することが求められる。
- 試験に合格していない場合、特定技能1号への移行要件を満たさないため注意が必要。
- 企業での勤務態度が良好であること
- 実習先の企業で適切な評価を受けていることが重要。
- 遅刻・欠勤が多い、業務態度が悪い場合は、特定技能への移行が難しくなる可能性がある。
- 技能実習の目的を理解し、計画通りに修了していること
- 技能実習制度は「技術の移転」を目的としているため、計画通りに業務をこなし、実習内容を習得していることが求められる。
- 企業の指導のもと、着実に技術を習得していることを証明する必要がある。
これらの条件を満たし、企業から「技能実習2号を良好に修了した」と認められれば、特定技能1号へ移行するための資格を得ることが可能となる。
特定技能1号への移行条件と必要な試験
技能実習2号を修了した後、特定技能1号へ移行するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。 技能実習生がスムーズに移行するためには、これらの条件を事前に理解し、適切な準備を進めることが重要です。
特定技能1号への移行条件
- 技能実習2号を良好に修了していること
- 技能実習2号の在留資格で規定の期間を適切に満了していること。
- 企業での勤務態度や実習状況が良好であることが条件。
- 特定技能1号の対象職種であること
- 特定技能1号の対象となる16の産業分野のいずれかである必要がある。
- 産業分野が異なる場合は、特定技能1号への移行は不可。
- 雇用先の企業と特定技能雇用契約を結ぶこと
- 受け入れ企業が特定技能の基準を満たしていることが必要。
- 雇用契約がなければ、特定技能1号への申請はできない。
- 必要な技能試験と日本語試験に合格していること(※免除規定あり)
- 一般的には、各分野の技能試験および**日本語能力試験(N4以上)**の合格が求められる。
- ただし、技能実習2号を良好に修了した場合は、技能試験・日本語試験が免除される特例がある。
次に、特定技能1号への移行に関わる技能試験や免除条件について詳しく解説します。
技能検定・評価試験の合格基準と免除の対象者
特定技能1号へ移行する際、基本的には技能試験および日本語試験の合格が必要ですが、技能実習2号を修了した場合には試験が免除されるケースがあります。
技能試験の合格基準
産業分野 | 試験名 | 実施機関 |
介護 | 介護技能評価試験 | 日本国際福祉機構 |
外食業 | 外食業技能測定試験 | 日本フードサービス協会 |
建設 | 建設分野特定技能評価試験 | 建設技能人材機構 |
自動車整備 | 自動車整備特定技能評価試験 | 日本自動車整備振興会 |
日本語試験の合格基準
試験免除の対象者
技能実習2号を良好に修了した場合、以下の試験が免除される。
ただし、一部の業種では技能試験が求められることがあるため、事前に確認が必要。
特定技能1号に移行後の働き方と求められるスキルの変化
技能実習2号を修了し、特定技能1号へ移行した後は、職務内容や働き方に変化が生じるため、事前にその違いを理解しておくことが重要です。特に、特定技能1号では即戦力としての役割が求められるため、単なる実習生ではなく、企業の戦力として責任ある業務を担当することになります。
技能実習2号と特定技能1号の業務の違い
項目 | 技能実習2号 | 特定技能1号 |
目的 | 技術の習得と母国への移転 | 人手不足を補うための即戦力 |
業務の範囲 | 限定された作業の補助 | より高度な技術や責任ある業務 |
指導の有無 | 指導者のもとで作業 | 自立した業務遂行が求められる |
スキルレベル | 基礎的な作業能力 | 専門的な知識と応用力 |
業務の柔軟性 | 一定の範囲内での業務 | 業務の幅が広がり、より多様な仕事に従事 |
特定技能1号に移行すると、作業の裁量が増え、業務内容も広がるため、実際に働く環境が大きく変わります。
特定技能1号で求められるスキルと適応すべきポイント
- より高度な専門技術の習得
- 技能実習では基本的な作業を学ぶことが中心でしたが、特定技能ではより高度な技術を実践する能力が求められます。
- 例)建設業なら現場の安全管理や施工管理補助の業務が加わる可能性がある。
- 業務上の日本語スキルの向上
- 技能実習2号では、ある程度の指示を理解できれば業務を遂行できましたが、特定技能では業務報告や顧客対応が必要な場面もあるため、より高い日本語能力が求められる。
- 例)宿泊業の場合、お客様対応の日本語が求められ、敬語の理解が必要になる。
- 職場での責任の増加
- 技能実習生は指導のもとで業務を行うことが基本でしたが、特定技能1号では自分の判断で作業を進める機会が増える。
- 例)飲食業では、調理や配膳だけでなく、食材管理や新人の指導を任されることもある。
特定技能1号へ移行する前に準備すべきこと
技能実習2号から特定技能1号へ移行する際の課題と解決策
技能実習2号を修了した後、特定技能1号へ移行するためにはいくつかの課題が存在します。特に、手続きの遅れや受入れ企業の準備不足、在留資格変更の不許可などが大きな障害となることがあります。
ここでは、移行時に発生しやすい課題とその解決策を詳しく解説します。
手続きの遅れや企業側の対応の問題点
1. 在留資格変更手続きの遅れ
課題:
- 在留資格変更の申請は、通常1~2か月の審査期間がかかるが、申請時期によっては3か月以上かかることもある。
- 技能実習2号の在留期限直前に手続きを開始すると、審査完了前に在留資格が切れてしまうリスクがある。
- 書類の不備があると、入管から追加書類の提出を求められ、さらに審査が長引く。
解決策:
- 在留資格の満了3か月前には手続きを開始する。
- 受入れ企業と早めに話し合い、雇用契約の締結を早める。
- 申請書類を事前に専門家(行政書士など)にチェックしてもらうことで、書類不備を防ぐ。
2. 受入れ企業の準備不足
- 受入れ企業が特定技能1号の雇用基準を満たしていない場合、申請が不許可となる。
- 「外国人支援計画」の準備が不十分な企業では、特定技能の受入れが認められない。
- 企業側の理解不足により、特定技能の労働条件(日本人と同等以上の待遇)を守らないケースがある。
- 受入れ企業が特定技能1号の基準を満たしているか事前に確認する。
- 企業と相談し、支援計画の作成や書類準備を徹底する。
- 企業が特定技能の雇用基準を満たしていない場合、特定技能の受け入れ実績がある企業を探すことも検討する。
3. 雇用契約のトラブル
- 技能実習2号と特定技能1号では、雇用条件が異なるため、契約内容の誤解が発生しやすい。
- 企業が適切な雇用契約を用意していない場合、入管で審査が通らない可能性がある。
- 一部の企業では、特定技能の労働条件を守らず、不適切な待遇を提示することがある。
- 雇用契約の内容をしっかり確認し、条件を明確にする。
- 日本人と同等以上の給与・待遇が保証されているかチェックする。
- 契約内容に不明な点があれば、企業や行政書士、支援団体に相談する。
4. 技能試験・日本語試験の免除要件の誤解
- 技能実習2号を修了すれば、すべての職種で試験が免除されるわけではない。
- 試験免除の要件を満たしていない場合、申請後に試験合格を求められることがある。
- 日本語試験(JLPT N4相当)の免除が適用されない業種もある。
- 事前に試験免除の対象職種かどうかを確認する。
- 技能試験や日本語試験の勉強を進めておき、万が一試験が必要になった場合に備える。
- 受入れ企業と相談し、試験の必要有無を確認する。
特定技能1号への移行をスムーズに進めるための対策
特定技能1号へスムーズに移行するためには、以下の点を意識することが重要です。
これらの対策を講じることで、申請の遅れや不許可のリスクを減らし、スムーズな移行を実現することができます。
移行後の就労環境とキャリアアップの可能性
技能実習2号から特定技能1号へ移行すると、労働環境やキャリアの選択肢が大きく変わります。 技能実習制度では、実習計画に基づいた業務を遂行することが求められていましたが、特定技能1号ではより柔軟な働き方が可能となります。
ここでは、移行後にどのような働き方の変化があるのか、そしてキャリアアップの可能性について解説します。
特定技能1号での働き方と今後の選択肢
1. 業務範囲の拡大と責任の増加
技能実習2号では、企業が定めた「技能実習計画」に従い、一定の範囲内で作業を行っていました。しかし、特定技能1号へ移行すると、より広範囲の業務に携わることが求められます。
例えば、製造業で働く場合、技能実習生の間は「特定の機械操作の補助」に従事していたが、特定技能1号では「生産ラインの管理や品質チェック業務」に携わることができるようになります。
2. 転職やキャリアの選択肢が広がる
技能実習2号では、原則として同じ企業で3年間働かなければならないルールがありましたが、特定技能1号では同じ業種内での転職が可能になります。
例えば、現在の勤務先で給与や待遇が満足できない場合、特定技能1号の資格を持っていれば、より良い条件の企業へ転職することができます。
- 例: 外食業の技能実習生 → 特定技能1号へ移行後、給与や勤務条件が良い別の飲食店へ転職
転職の自由度が増すことで、キャリアアップの機会が広がるだけでなく、労働条件の改善も期待できます。
3. 在留期間の延長と特定技能2号への道
特定技能1号の在留期間は最長5年ですが、一部の産業分野では特定技能2号へ移行することで、さらに長期間日本で働くことが可能になります。
特定技能2号へ移行すると、日本での定住が可能になるケースもあるため、長期的なキャリアプランを考える上での重要な選択肢となります。
4. 日本企業での昇進や正社員登用の可能性
特定技能1号のままでも、企業によっては昇給や役職の昇進、さらには正社員登用のチャンスがある場合があります。
- 例: 宿泊業で特定技能1号として働く → 接客やマネジメント業務を習得 → 正社員として登用される
企業側としても、即戦力となる外国人材を長期間雇用したいと考えているため、優秀な人材には昇進や待遇改善の可能性が高まります。
特定技能1号で成功するためのポイント
まとめ:特定技能1号への移行を成功させるためのポイント
技能実習2号から特定技能1号へ移行することで、就労期間の延長や待遇の改善が期待できます。しかし、スムーズに移行するためには、事前の準備が不可欠です。
特定技能1号へ移行する際の重要なポイントは以下の通りです。
特定技能1号への移行を成功させるためには、計画的な準備と適切な情報収集が重要です。必要な手続きを理解し、早めの行動を心がけることで、安心して日本でのキャリアを継続することができます。