コンクリート圧送施工は、建設現場における生コンクリート打設の工程を支える重要な作業です。しかし、技能実習として受け入れを検討する企業の多くが次のような不安を抱えています。
- 技能実習生が担当できる作業の範囲を知りたい
- 危険の多い作業で、どこまで安全教育が必要か不安
- 実習計画や体制づくりの正しい進め方がわからない
この記事では、技能実習制度の趣旨に基づき、コンクリート圧送施工における実習内容・受け入れ要件・安全管理の基本をわかりやすく解説します。初めての企業でも制度に沿って安全に進められるよう、現場と制度の両面からポイントを整理しています。
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コンクリート圧送施工の技能実習とは?
建設分野22職種33作業の中での専門的な位置づけ
コンクリート圧送施工は、建設分野に定められている22職種33作業の一つで、建設工事における生コンクリート打設の根幹を担う作業です。技能実習制度における目的は技能移転であり、実習生は熟練作業員の補助を通じて現場で必要とされる基礎的な作業技能と安全知識を学びます。圧送施工は、構造物の品質に大きく影響するため、建設分野の中でも工程管理・安全管理の比重が高い点が特徴です。
技能実習で扱う作業領域は、初期段階では「補助」が中心であり、ポンプ車の操作や作業計画の判断といった高度な作業を単独で担当することはありません。
ただし、技能実習制度の基準ではポンプ車や関連装置の基本的な操作・点検の理解も必須業務に含まれているため、実習の進行に応じて操作の仕組みや作業原理を段階的に学んでいきます。
作業は段階的に割り当てられ、最初は工具名称や配管部材の理解から始まり、現場の工程や安全手順を学びながら技能の幅を広げていきます。
技能実習で扱う技能領域(圧送技術の基礎)
コンクリート圧送施工は、次の3つの要素が連動してはじめて成立します。
- コンクリートポンプ車(機械本体)
- 配管設備(鋼管・ゴムホース・クランプ等)
- 打設対象(型枠・鉄筋・スラブなど)
これらが適切に接続・配置されることで、一定の圧力でコンクリートを送り出すことができます。実習生はこの仕組みを理解しながら、指導員とともに作業の補助に携わります。
また、圧送作業の特徴として
- コンクリートの“性質”に影響を受けやすい(スランプ、材料分離など)
- 配管の“抵抗”によって負荷が変わる(曲がり数・長さ)
- 現場条件に大きく左右される(気温・施工環境)
といった点が挙げられます。
技能実習では、これらの基本特性を理解しながら、「なぜこうするのか」を伴う技能移転を進めることが重視されています。
実習生が担う役割と技能移転の考え方
技能実習生が担当する作業はあくまで補助であり、危険を伴う工程は必ず指導員が管理します。ただし、補助作業であっても正確性が求められるため、次のような役割を段階的に学びます。
- 配管準備の補助(角度・クランプ・ガスケット確認)
- ホース先端の保持補助(落とし込み位置の調整など)
- 型枠・鉄筋位置の確認補助
- 圧送前点検の補助
- 圧送工程の見学と理解
- 清掃や洗浄作業の補助
コンクリート圧送は、建築物の強度や耐久性に関わる作業であるため、実習生にも「工程全体の意味」を理解しながら学ぶ姿勢が求められます。技能移転は単なる作業習得ではなく、安全・品質・工程管理という“考え方”を学ぶプロセスでもあります。
技能実習生が現場で担当する具体的作業
配管計画・設置補助の詳細
コンクリート圧送作業の成否を大きく左右するのが「配管計画と設置」です。現場では、打設位置・搬入経路・仮設構造物の状況・安全通路など複数の条件を踏まえて配管ルートを決めます。配管の曲がり数が増えると抵抗が大きくなり、圧送負荷や詰まりの可能性が高まるため、熟練作業員が慎重に判断します。
技能実習生は、この配管計画に基づき、以下の補助作業を担当します。
- 配管の持ち運び・設置補助
- クランプ(締結バンド)の固定作業補助
- ガスケットの状態確認
- 配管角度の微調整
- 支持材の設置補助
これらは単なる“力仕事”ではありません。配管の角度・高さ・支持間隔が不適切であれば、材料分離・逆圧・配管抜けなどの事故につながります。そのため実習生には、「なぜここに支持を置くのか」など背景となる考え方を理解しながら学ぶ姿勢が求められます。
また、配管計画は作業の安全性にも密接に関わるため、実習生は指導員の説明を受けつつ、現場全体の動線や他作業との干渉にも注意しながら作業を進めます。
ホース先端操作の高度性と安全要求
圧送作業の中でも最も緊張感のある工程が、ホース先端(通称:ホースマン)に関わる作業です。技能実習生は、その中でも指導員の監督下で補助を担当します。
ホースには一定の圧力がかかり、わずかな負圧・正圧の変化で挙動が大きく変わることがあります。特に初期圧送や詰まりの兆候がある際には、ホースが大きく跳ねる可能性もあり、安全性を最優先した動作が求められます。
技能実習生が担当するのは、あくまで指導員の監督下での“補助”ですが、求められる理解は高いレベルにあります。
例えば、次のようなポイントを段階的に習得します。
□ ホース保持の姿勢(腰を落として重心を低くする)
□ 打設位置の確認(型枠・鉄筋位置の理解)
□ コンクリートの落とし込み高さの管理
□ 周囲作業員との合図の共有
□ コンクリートの状態変化(スランプ)の観察
といった内容を段階的に習得します。
特に型枠周辺では、鉄筋のかぶり厚さや型枠の剛性を維持するため慎重な作業が求められます。実習生は「ただ流す」のではなく、“構造物の品質を左右する工程に関わっている”という認識を持ちながら作業を進めます。
圧送作業の工程全体像
圧送施工には明確な流れがあり、その全体像を理解することが技能習得の基盤となります。
一般的な工程は次の通りです。
- 配管ルートの確認と設置(安全通路・支持材確認)
- ポンプ車の位置決めと安全確認
- 試し打ち(試送)
- 本圧送の開始
- ホース先端の操作補助
- 圧送終了後の洗浄・清掃作業
- 使用機器の点検・撤去作業

特に洗浄作業は重要で、配管内に生コンが残ると硬化し、次回圧送時の詰まりや重大な事故に発展する可能性があります。技能実習生はこの工程でも補助を担当し、配管内の水洗い・逆圧洗浄・ホッパー清掃などの基礎作業を学びます。
圧送作業の全体像を理解することで、実習生は「自分が担当する補助作業が全体のどの位置にあるのか」を把握でき、作業の意味と目的が明確になります。これは技能移転において大変重要な視点です。
受け入れ企業が整えるべき実習体制と制度上の要件
受け入れ要件と整備すべき体制
コンクリート圧送施工の技能実習を受け入れる企業は、技能移転を適切に行う「実習実施者」としての体制を整える必要があります。技能実習は国際協力として技能移転を行う制度であり、作業力補填を目的としたものではありません。
受け入れに求められる主な要件は次のとおりです。
- 実習指導員・生活指導員の配置
- 危険箇所の可視化や区画整理を含む安全環境整備
- 作業開始前の安全教育(危険予知・基本姿勢・工具の扱い)
- 宿舎の確保など生活支援体制
- 実習実施者として不正がないこと(適正性要件)
圧送施工は高圧作業のため、企業側が事前に「配管締結の不具合」「ホース挙動」「型枠への負荷」などのリスクを理解しておくことが不可欠です。
受け入れの流れは、
①監理団体への相談 → ②実習計画書の作成 → ③技能実習計画の認定 → ④在留資格手続き → ⑤入国後講習 → ⑥現場配属 という順で進みます。建設分野では補助作業中心の「段階的な技能習得計画」を求められます。
監理団体の監査と計画書で求められる内容
団体監理型は巡回・監査を通じて、実習が計画どおりに行われているかを確認します。
主な確認事項は、
□ 計画から逸脱した作業をしていないか
□ 危険工程に単独で入っていないか
□ 指導簿や勤務記録が適切に管理されているか
実習計画書には、
□ 補助作業中心の技能範囲
□ 段階的な指導ステップ
□ 危険工程における指導員の関与
□ 安全教育の内容・頻度
などを明確に記載します。圧送施工は現場条件によりリスクが変動するため、安全配慮の計画は特に重要です。
技能実習で特に注意すべきポイント(安全管理・指導方法)
高圧機械を扱う作業における主要リスク
コンクリート圧送施工は、建設分野の中でも「高圧」を扱う特性が強く、安全管理の徹底が求められる作業です。圧送ラインには常に負圧・正圧が生じており、ほんのわずかな接続不良でも重大な事故に繋がる可能性があります。
特に注意すべき主なリスクには、次のようなものがあります。
- 配管の抜け・破損
締結不良や摩耗によって接続部が外れ、生コンが飛散する危険があります。 - ホースの跳ね上がり
詰まりや急激な圧力変化によって先端ホースが大きく動く場合があり、周囲作業員が巻き込まれる恐れがあります。 - 型枠の破損・材料流出
型枠耐力を超える圧力が局所的にかかると、コンクリートが一気に流出し非常に危険です。 - 作業者の接近・誤動作
ホース周辺に不用意に近づくことや合図の誤認によりトラブルが発生することがあります。
これらは現場で頻繁に話題になるリスクであり、技能実習生には「何が危険なのか」を理解させる段階的指導が欠かせません。
実習生教育で必ず行うべき指導項目
安全管理を徹底するためには、次のような項目を実習開始前から繰り返し指導することが重要です。
- 危険予知活動(KY)
作業前に「どこに危険があるか、どう回避するか」を一緒に整理する。 - ホース保持姿勢の反復練習
腰を落として重心を安定させる姿勢を、実技で定着させる。 - 安全合図(手信号)の体系理解
ポンプ車オペレーターとの連携に必須。 - 距離保持のルール
ホース周辺への不用意接近を避ける徹底。 - 配管・ガスケットの構造理解
「なぜここが危ないのか」を理解しやすくする。
技能実習は「作業そのもの」だけでなく、安全を成立させるための考え方を習得するプロセスでもあります。安全理解を深める指導こそ、技能移転の核となる部分です。
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よくある質問(FAQ)
ポンプ車の運転は技能実習生に可能か?
技能実習生がコンクリートポンプ車を単独で運転・操作することは、原則としてできません。
主な理由は次のとおりです。
- 車両としての運転には日本の運転免許が必要であること
- ポンプ車の操作には特別教育などの資格・教育が必要な場合があること
また、技能実習制度は「補助作業を通じた技能移転」を目的としているため、
運転・操作盤の操作・作業計画の判断といった高度な業務は指導員が担当するのが原則です。
どこまでの作業を担当できるのか?
技能実習生が担当するのは、指導員の監督下での補助作業です。
主な例は次のとおりです。
- 配管準備・クランプ締結の補助
- ホース先端操作の補助
- 圧送前点検の補助
- 工程全体を理解するための見学
- 圧送終了後の洗浄・清掃の補助
一方で、工程管理や作業計画の判断、ポンプ車操作の単独実施、危険工程への単独従事といった高度な業務は、制度上も安全上も実習生には担当させません。
特定技能へ移行することは可能か?
建設分野には、技能実習から特定技能(1号)へ移行できる制度があります。
ただし、次のような条件を満たす必要があります。
- 対象となる分野であること
- 技能実習(1号・2号など)を適切に修了していること
- 特定技能評価試験や技能実習修了者向け試験に合格していること
- 実習で従事した作業分野と特定技能の試験区分が一致していること
移行を検討する際は、対象分野・試験区分・実習生の職種コードが合っているかを事前に確認することが重要です。
まとめ
コンクリート圧送施工の技能実習では、配管準備やホース先端の操作補助などを通じて、建設現場で必要とされる基礎技能や安全理解を段階的に習得していきます。圧送施工は高圧機械を扱うため、受け入れ企業には指導体制、安全教育、適切な作業環境の整備が求められます。実習生が担当する作業は補助が中心であり、工程全体の理解やリスク把握を含めて技能移転を進めることが重要です。制度の趣旨に基づき、安全性と教育性を両立した環境を整えることで、実習生が安心して学べる現場づくりが可能になります。
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