はじめに
中小企業が抱える慢性的な労働力不足問題に、外国人技能実習制度が解決策の一つとして注目されています。しかし、技能実習生を受け入れるためには「技能実習責任者講習」を受講する必要があります。本記事では、この講習がどのようなものか、なぜ重要なのかについて解説します。
【この記事で分かること】
- 「技能実習責任者講習」とは何か?
- 「技能実習責任者講習」の重要性
- 「技能実習責任者講習」のメリット・デメリット
- 「技能実習責任者講習」の受講方法
技能実習責任者講習とは?
技能実習責任者講習というのは、技能実習責任者になるために受講しなければならない講習です。では、技能実習責任者が果たしている役割と、技能実習責任者講習で取り扱う内容について見ていきましょう。
技能実習責任者の役割とは?
技能実習責任者は、技能実習生に関わる業務を統括管理する役割を果たす人のことです。
外国人技能実習制度に関して、十分な知識を身につけている必要があります。また、技能実習生の指導には、技能実習指導員や生活指導員なども関わります。そのため、技能実習責任者は他の職員を監督できる立場でなければなりません。
技能実習責任者が果たす具体的な業務内容としては、技能実習計画の作成や技能実習生の評価などが挙げられます。帳簿書類の作成や管理、政府機関や監理団体に対して行う手続きなども技能実習責任者の仕事です。
技能実習責任者講習の内容
技能実習責任者講習で扱う内容は次の5つに分けられます。
- 技能実習法
- 出入国管理・難民認定法
- 労働関係法令
- 技能実習指導の行い方
- 労働災害防止・労働災害時対応
講義のスケジュールは、午前中に技能実習法と出入国管理・難民認定法、技能実習の行い方について実施されます。技能実習法が90分で、出入国管理・難民認定法が30分、技能実習の行い方が60分です。
午後には、労働関係法令と労働災害防止・労働災害時対応の講義が実施されます。労働関係法令が90分、労働災害防止・労働災害時対応が60分です。
5つの講義が終了した後に理解度テストが実施されます。20問出題され、合格基準は14問以上の正解です。その場で採点が行われて、合格すれば受講証明書が交付されます。講義からテストまで1日で完結するスケジュールです。
もし、テストで不合格になってしまったら、再度受講して合格する必要があります。
技能実習責任者講習の重要性
技能実習生の受け入れをするには、技能実習生責任者講習を受講することが重要です。もし、技能実習責任者講習を受講せずに済ませてしまうと、大きなリスクを伴う可能性があります。
では、講習を受講することで得られるメリットと、受講しない場合のデメリットについて見ていきましょう。
講習を受けるメリット
技能実習責任者講習で取り扱う内容には、技能実習生を受け入れる際に必要な知識が多く盛り込まれています。制度に関して詳しく理解していない状態で技能実習生の受け入れをすると、意図せず法令違反になってしまう可能性もあるでしょう。申請がスムーズに通らず、受け入れができるまで時間を要してしまうことも多いです。
その点、技能実習責任者講習を受講して、基本的な知識を身につけておけば、法令遵守につながります。
また、外国人労働者と接するのが初めてだという人も多いでしょう。技能実習生に対して、どのように接すればいいのかよく分からないこともあるかもしれません。コミュニケーションが上手く取れるか自信がない人も多いです。
技能実習責任者講習では、技能実習指導の行い方に関する講義があり、指導方法について詳しく学べます。学習した内容を活かして指導すれば、技能実習生と円滑なコミュニケーションを取ることができるでしょう。信頼関係も構築され、早い段階から戦力として活躍できる可能性が高まります。
講習未受講のデメリット
技能実習責任者講習は、技能実習責任者になるためには受講が必須です。また、技能実習生の受け入れをする企業には、技能実習責任者の配置が義務付けられています。
そのため、社員や役員のうち誰も技能実習責任者講習を受講していない企業は、技能実習生の受け入れをすることはできません。技能実習生責任者が配置されていないと、技能実習生の受け入れに必要な手続きを進められない場合もあります。
もし、技能実習責任者講習を受講しないまま技能実習の受け入れをしてしまうと、違法な行為として扱われてしまうため注意しましょう。罰則が適用されたり行政指導の対象になったりする可能性があります。
既に技能実習生を受け入れて、仕事に従事させている場合にも注意が必要です。技能実習責任者が配置されていないことが発覚すると、技能実習生の受け入れが停止されてしまうリスクがあります。
技能実習責任者講習の受講方法
技能実習責任者講習は養成講習機関が実施しています。養成講習機関は複数あり、受講しやすいところを選択可能です。では、技能実習責任者講習を受講する際の申し込み手順やスケジュール、費用などについて見ていきましょう。
講習の申し込み手順
養成講習機関の公式サイトに申し込みフォームが設置されているため、必要事項を入力して申し込みをしましょう。入力する項目は養成講習機関によってやや異なりますが、主に氏名や生年月日、企業名、連絡先メールアドレスなどです。フォームからの申し込みを済ませた後は受講料の支払いを済ませましょう。
そうすると、当日の2週間くらい前までに受講票が送付されます。当日は受講票を忘れずに持参して会場に足を運びましょう。また、当日に遅刻した場合には受講できなくなってしまいます。
改めて別の日程で申し込みをして受講しなければならなくなるため、注意が必要です。講習開催場所と開始時刻をよく確認したうえで、時間に余裕を持たせて家を出るようにしましょう。
講習のスケジュールと費用
技能実習責任者講習の標準的なスケジュールとしては、午前9時から開始するところが多いです。また、開始5分前から簡単なガイダンスや注意事項の説明が5分程度行われます。遅くとも8時50分ごろまでは会場の席につくようにしましょう。
途中で何度か休憩を挟み、お昼の休憩は60分程度あります。最後に行う理解度テストは30分間です。午後4時40分ごろには、受講証明書が交付されて全てのスケジュールを終えます。休憩を除くと合計で6時間です。
また、費用は消費税とテキスト代を含めて13,200円です。
オンライン講習の活用
技能実習責任者講習を受講したくても、日々の業務が忙しくてなかなか予定を空けられない人もいるでしょう。技能実習責任者講習は、会場で受講する方法の他に、オンライン講習も実施されています。忙しい経営者の方でもオンラインなら受講しやすいため、積極的に活用してみましょう。
オンラインなら開催日時は決められているものの、職場や自宅など好きな場所で受講できるのがメリットです。
ただし、身分証明書や顔写真の提出が必要です。また、環境を整えておかなければなりません。WebカメラとスピーカーのあるPCとZOOMを利用できる通信環境が必要です。同じ会社で複数人が同時に受講する場合にも、1人1台のPCを用意しなければなりません。スマホやタブレット端末では受講できないため注意しましょう。
申し込み方法は会場で受講する場合とほとんど変わりません。養成講習機関で会場での講習とオンライン講習に分けて申し込みフォームを設置しているため、どちらなのかよく確認してから申し込みましょう。
まとめ
技能実習責任者講習は、技能実習責任者になるために受講が義務付けられている講習です。技能実習生の受け入れをする企業では、社員や役員のうち誰か1人は受講して技能実習責任者にならなければなりません。
講習では技能実習生の受け入れをするうえで必要な知識を学びます。1日で完結するスケジュールでそれほど難しいものではありません。最後の理解度テストも大半の人が合格しています。
技能実習生に指導をするうえで、学んだ内容が役立つことも多いです。また、未受講だと罰則や行政指導の対象になってしまうリスクがあります。そのため、技能実習生の受け入れをするなら必ず受講しておきましょう。

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