防水施工の技能実習を進めるうえでは、作業工程の理解や安全管理、評価試験への準備など、実習実施者が押さえるべき項目が多くあります。特に以下のような不安を感じる企業担当者の方も少なくありません。
- シート・アスファルト・ウレタン防水の工程をどう教えるべきか
- 技能評価試験の基準に沿った指導ができているか
- 受け入れ手続きや制度の準拠内容に漏れがないか
この記事では、防水施工の技能実習で求められる作業工程、受け入れ条件、教育体制、安全管理の要点を整理し、制度に沿って実習を進めるための実務ポイントを紹介します。
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防水施工職種とは?技能実習制度における位置づけ

防水施工職種の制度上の位置づけ
防水施工は建設分野に属する技能実習職種で、建築物の防水性能を確保するための専門的な技能を必要とします。技能実習制度では「技能移転」を目的として技能を段階的に習得することが求められるため、防水施工の各工程を理解し、安全に施工できるよう計画的に教育を行う必要があります。屋外作業や高所作業を伴うこともあるため、安全衛生管理が特に重要とされています。以下に、防水施工に分類される代表的な工法を整理します。
防水施工で取り扱う主要作業(シート・アスファルト・ウレタン)
防水施工職種に含まれる代表的な作業は、材料や施工工程が異なり、それぞれ異なる技能が求められます。
- シート防水
合成ゴム・塩ビシートを貼り付ける工法で、接着処理やジョイント処理の精度が品質に影響します。 - アスファルト防水
溶融アスファルトを積層して防水層を形成する工法で、高温材料を扱うため安全対策が不可欠です。 - ウレタン防水
液状ウレタンを塗布して防水層をつくる工法で、下地処理と塗布管理が重要です。
工法により工程が異なるため、技能実習では作業内容に応じた教育が必要となります。
実習実施者と団体監理型が担う役割
技能実習制度では、現場で技能指導を行う「実習実施者」と、監査や指導・相談対応などを行う「団体監理型」が制度上の実施主体として定められています。実習実施者は技能実習計画の作成、安全衛生管理、現場での技能指導を担い、計画に沿って技能移転が進むよう責任を持ちます。一方、団体監理型は監査や巡回指導を通じて、実習実施者が適切に制度を運用しているかを確認し、必要に応じてサポートを行います。防水施工は危険を伴う作業も多いため、両者が連携し、技能習得と安全確保を図ることが重要です。
技能実習生が従事する防水施工の作業工程
シート防水の標準工程
シート防水は、合成ゴムや塩ビシートを下地に貼り付けて仕上げる工法です。下地清掃・乾燥の後、プライマーを塗布し、専用接着剤でシートを貼り、ジョイント処理を行います。接着の精度や部材の納まりが防水性能に影響するため、技能実習生には手順の正確な理解を重点的に指導します。
アスファルト防水の標準工程
アスファルト防水は、高温の溶融アスファルトを使用し、複数層を積み重ねる工法です。
主な工程は次のとおりです。
- アスファルトの溶融
専用釜で加熱し、適切な温度まで管理します。 - ルーフィング材の積層
下貼り後、溶融アスファルトを塗布しながらルーフィング材を重ねていきます。 - 仕上げ・保護層の施工
最終層を保護するため、モルタルなどで保護層を施工します。
高温材料を扱うため、安全管理が特に重要です。技能実習生には温度管理や安全距離の確保を丁寧に指導します。
ウレタン防水の標準工程
ウレタン防水は、液状ウレタンを塗布して硬化させる工法です。下地処理の後にプライマーを塗布し、主材を厚みを確認しながら塗布します。硬化を待ち、最後にトップコートで保護層を形成します。複雑な形状にも対応できる一方で、塗布量や養生時間の理解が重要です。
防水施工職種の技能実習生受け入れ条件
受け入れに必要な基準(制度・在留手続き・申請の流れ)
防水施工職種で技能実習を行うためには、実習実施者が制度上の基準を満たし、在留資格「技能実習」に必要な手続きを適切に進める必要があります。技能実習計画の作成、指導体制の整備、安全衛生管理、書面による報告義務などが求められます。また、団体監理型が計画内容を確認し、在留申請手続きが円滑に進むよう支援します。
技能実習1号・2号・3号の違いと滞在期間
技能実習では、技能の習熟度に応じて段階が設定されており、評価試験と連動しています。
- 技能実習1号(1年)
技能実習評価試験(初級:一般的に基礎級と呼ばれる)で確認される基礎技 能の習得段階です。 - 技能実習2号(最長2年)
随時3級により実践的技能が評価される段階です。 - 技能実習3号(最長2年)
随時2級の合格者が対象で、高度な技能習熟が求められる段階です。
段階の移行には評価試験の合格が必要で、制度上の手続きとも密接に関連します。
人数枠と受け入れ時の確認ポイント
技能実習生の受け入れ人数は、実習実施者の常勤職員数や過去の実習実績に応じて制度上の上限が定められています。人数枠の確認は申請時の重要な工程であり、団体監理型の監査でも必ず確認される項目です。また、作業内容が制度で定められた作業区分と一致しているか、安全衛生管理体制が整備されているかも事前に確認する必要があります。適切な受け入れ準備を行うことで、後の評価試験や教育体制にも良い影響があります。
防水施工職種の技能評価試験

評価試験の体系(基礎級→随時3級→随時2級)
防水施工の技能評価試験は、技能実習制度の段階に合わせて「基礎級」「随時3級」「随時2級」の順に受検します。基礎級では基礎的な施工手順や工具の扱いを理解しているかを確認し、随時3級では実践レベルの施工能力が求められます。随時2級は技能実習3号に移行する際の試験で、より高度な技能や作業品質の安定性が評価されます。これらの評価体系は技能移転を段階的に確認するための制度上の基準です。続いて、試験に含まれる学科と実技の内容を詳しく整理します。
試験内容(学科・実技)
技能評価試験は「学科」と「実技」で構成され、工法に応じた技能と知識が問われます。
- 学科試験
材料の性質、施工工程、安全衛生に関する基礎知識が出題されます。基礎級では基本事項、随時級では現場判断に関する内容が含まれます。 - 実技試験
シート・アスファルト・ウレタンのいずれかの工法で実際に施工を行い、手順理解、仕上がり、作業精度などが評価されます。
試験内容はいずれも日常の実習作業と密接に関連しており、評価試験に向けた日頃の技能習熟が重要となります。
合格につながる技能習熟と実習計画との連動
評価試験に合格するためには、作業工程ごとの注意点を理解したうえで、日常の実習の中で繰り返し技能を定着させることが重要です。シート防水では貼り込み精度、アスファルト防水では温度管理、ウレタン防水では塗布厚が評価のポイントになります。また、実習実施者は技能実習計画に基づいて段階的に指導を行い、技能実習生が評価試験に向けて必要な技能を習得できるよう支援します。合格後は、試験結果をもとに次の技能実習段階に進む要件を整理し、団体監理型と連携しながら制度運用上必要な確認や記録管理を行います。
オープンケア協同組合の3つの強み!
- 全国1,000社・2,500名以上の受け入れ実績
- 実習生を支える、きめ細やかなサポート体制
- 91職種・167作業に対応可能!(2025年時点)
「外国人雇用について詳しく知りたい」「相談できる機関が知りたい」という方は、お気軽にご相談(無料)下さい。
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現場での教育体制と技能指導|OJT・危険予知活動(KYT)
技能実習生への教育方針(OJTとOff-JT)
防水施工では、実習生が安全かつ正確に作業できるよう、OJTとOff-JTを組み合わせて段階的に教育します。OJTでは現場で施工手順や工具の使い方を実践的に指導し、工程ごとの注意点を習熟させます。Off-JTでは、安全衛生知識や材料の特性など、現場に入る前に理解しておくべき基礎情報を学習します。防水施工は工法ごとに扱う材料が異なるため、複合的な学習が求められます。
防水施工で求められる技能指導内容
防水施工では、工法別の技能を理解するため、次のような指導が必要になります。
✓ 下地処理と清掃
段差の有無や水分の確認など、品質を左右する基本工程を丁寧に指導します。
✓ 工法ごとの確認ポイント
シートのジョイント処理、アスファルトの温度管理、ウレタンの塗布厚の確認 など、各工法で重要な技能を反復して教えます。
これらは技能評価試験とも密接に関連するため、実習実施者による継続的な指導が欠かせません。
危険予知活動(KYT)と安全意識の習得
防水施工は高所作業や熱源、化学物質の取り扱いなど、安全管理が欠かせない作業が多く含まれます。技能実習生が現場に慣れるためには、危険予知活動(KYT)を通じて事故につながりやすい状況を事前に把握し、安全な作業行動を取れるようにすることが重要です。KYTでは、想定されるリスクを現場指導者と共有し、どの作業に注意が必要かを具体的に確認します。これにより、安全意識が高まり、作業の品質管理にも良い影響を与えます。
団体監理型のサポート体制(監査・相談・指導)
団体監理型は、技能実習が計画に沿って実施されているかを確認するため、定期的な監査や巡回指導を行います。また、実習実施者や技能実習生からの相談にも対応し、制度運用上の疑問点や現場での課題に対して助言を行う役割を担います。防水施工は安全管理が特に重要な職種のため、団体監理型は安全衛生の取り組み状況や教育体制を重点的に確認し、必要に応じて改善を促します。このような連携を通じて、技能移転と現場の安全が両立する環境を整えることができます。
防水施工における安全管理とリスク対策
防水施工特有のリスク(熱源・高所・化学物質など)
防水施工の現場には、溶融アスファルトの高温作業、屋上での高所作業、溶剤やウレタンなどの化学物質の取り扱いといったリスクが存在します。特にアスファルトの加熱作業では火傷の危険が高く、ウレタン防水では換気不足による健康影響が懸念されます。また、雨天時の滑りや風によるシートのあおりなど、環境条件によるリスクも無視できません。これらを正しく理解することが安全管理の第一歩となり、後述の対策につながります。
現場で求められる安全衛生管理と注意点
防水施工では、作業の安全を確保するため、次のような基本的な安全衛生管理が必要です。
- 保護具の着用
ヘルメット、手袋、安全帯、耐熱装備などを適切に使用し、事故を予防します。 - 材料や環境の確認
アスファルトの温度管理、シンナー類の保管、高所作業時の足場確認など、作業環境に応じた点検を行います。
これらは技能実習計画にも反映される重要な管理項目であり、技能実習生が安全に作業できるよう定期的に確認する必要があります。
実習実施者が行う安全確保の取り組み
実習実施者は、技能実習生が安全に作業できる環境を整えるため、現場指導者による確認、危険個所の点検、天候リスクの判断などの安全管理を行う責任があります。作業前ミーティングでリスクを共有し、保護具の状態や材料の取り扱いを確認することも欠かせません。また、団体監理型と連携し、安全衛生に関する指導内容や監査結果を踏まえて改善を進めることが制度運用上求められます。こうした取り組みを継続することで、技能移転と安全管理の両立が可能となります。
防水施工の技能実習でよくある質問
受け入れ期間や手続きに関する内容として多いもの
防水施工の技能実習は、技能実習1号から3号までを合わせて最長5年の滞在が可能です。受け入れ手続きを進める際は、実習計画の内容が制度上の作業区分と一致しているかが重要で、団体監理型と連携することで申請がより円滑に進む傾向があります。
評価試験の難易度としてよく挙がる内容
技能実習評価試験(初級:一般に基礎級と呼ばれる)は基礎技能の理解を確認する内容が中心で取り組みやすいとされています。一方、随時3級や随時2級では作業品質や安全管理の理解が求められます。施工工程の理解がそのまま評価に影響するため、日々の実習内容と試験内容が密接に結びついています。
教育体制や相談方法として多く寄せられる内容
防水施工は工法によって求められる技能が異なるため、OJTとOff-JTを組み合わせた学習が効果的とされています。実習実施者に加えて、制度運用に詳しい団体監理型に相談することで、指導計画や現場での教育の進め方に関する不明点が解消しやすくなります。
現場で発生しやすいトラブルを防ぐために意識されている点
防水施工では、工程理解や安全管理が不足すると不具合につながりやすいため、作業前のKYT(危険予知活動)や保護具の点検が重視されています。また、天候の影響を受けやすい職種のため、事前の工程調整が品質確保に役立つとされています。こうした取り組みにより、技能移転の質と現場の安全向上につながると考えられます。
まとめ
防水施工の技能実習では、工法ごとの作業工程を正確に理解し、安全衛生管理を徹底しながら段階的に技能を身につけることが大切です。技能評価試験との連動性が高いため、日々の実習内容が技能移転の質を左右します。また、OJT・Off-JT・KYTなどの教育体制を組み合わせることで、技能と安全意識の双方を育成できます。制度に沿った受け入れ準備や計画的な指導環境が整っているほど、実習は安定して進められます。次に実習を検討する際は、制度に詳しい支援先と相談しながら進めると安心です。
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