昨今、外国人労働者を雇用する動きが高まっており、特に中小企業では外国人の雇用を積極的に行っています。労働力不足が深刻化する中、外国人労働者の雇用は、企業の成長と経営の効率化につながる可能性があるのです。
今回は、外国人雇用が日本の中小企業にもたらすメリットや利用できる助成金制度、外国人雇用に関する基本情報から成功事例まで、詳しくご説明します。
外国人雇用の現状と背景
生活をしている中でも、外国人労働者に出会う機会が増え、外国人労働者の増加を実感している方も多いのではないでしょうか。では実際、外国人労働者はどの程度増加しているのでしょうか。
日本における労働力不足の現状
外国人労働者が増加している背景には、日本国内の労働力が不足しているという現状があります。日本の人口は2004年をピークに年々減少しています。65歳以上の高齢者の人口は増加しているものの、生産年齢人口と呼ばれる労働の担い手となる15歳〜64歳の人口の減少は顕著です。
特に、少子化により若年層の人口は減少しており、今後、ますます労働力不足は加速するといわれています。
外国人労働者の需要の高まり
日本における労働力不足を解消するため、外国人労働者を雇用する動きが活発になっています。令和5年10月末時点において、外国人労働者の人口は2,048,675人となり、外国人雇用状況届出書の提出を義務付けた平成19年以降、過去最高を更新しています。また、外国人を雇用する事業所数は318,775箇所となり、こちらも過去最高を更新する結果となっています。
2019年には外国人労働者を受け入れる新たな在留資格である特定技能も創設され、今後ますます外国人労働者の需要は高まっていくと考えられています。
外国人雇用のメリット
中小企業の中には、外国人雇用を進めるところが増加しています。では、外国人を雇用するとどのようなメリットを得られるのでしょうか。外国人雇用によって得られる主なメリットを3つご紹介します。
異なる視点の導入によるイノベーション
日本人と外国人では、文化や慣習に違いがあることから、考え方にも違いがあります。
日本人とは異なる視点から生まれる斬新なアイディアが新たなイノベーションを生み出し、外国人の雇用が企業の成長を後押しする可能性も期待できる点は、外国人雇用の大きなメリットです。
労働力不足の解消
労働力不足の解消は外国人雇用の最大のメリットであるともいえます。人出不足が続く環境では、今いる従業員にかかる負担が大きくなるために、さらなる退職者を生むリスクがあります。
しかし、外国人の雇用により人手不足が解消され、日本人の従業員も適正な量の業務を担当できるようになれば、人材の流出を食い止めることができます。
また、外国人労働者の雇用によって、人員の余裕をもって業務に取り組めるようになれば、ミスも減り、品質や生産性の向上にもつながるはずです。
海外市場への展開が容易に
外国人雇用のもう一つのメリットが、海外への事業展開を促進できる点です。
日本から海外進出を狙う場合、進出する国の市場や状況について詳しく調査をする必要があります。しかし、文化も異なることから、日本人が外部から調査しただけでは知り得ないことも多く、しっかり現地の状況を把握できなければ海外進出に失敗する恐れがあります。
その点、現地での生活をよく知る外国人を雇用すれば、さまざまな情報を収集することができます。さらに、母国語での交渉もできるため、外国人の雇用は海外進出の大きな力となります。また、外国人の雇用によって日本人従業員もその国の文化や慣習を知ることができれば、海外進出をするうえで大きなアドバンテージとなるでしょう。
オープンケア協同組合では、外国人雇用にあたってのさまざまなサポートを行っています。
\お客様相談センター(06-4708-6750)/
外国人雇用に利用できる助成金制度
外国人を雇用する際には、利用できる助成金制度があります。
ここでは、国からの助成金についてご紹介しますが、自治体が独自で行っている助成金制度もあるため、事業所のある自治体の制度なども調べてみることをおすすめします。
人材開発支援助成金とは?
人材開発支援助成金とは、事業主が雇用する労働者に対し、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合、訓練にかかった費用や訓練期間中の賃金の一部を助成する厚生労働省の助成金制度です。
人材開発支援助成金には、人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキング支援コース、建設労働者認定訓練コース、建設労働者技能実習コースなどがあります。
令和6年4月1日には人材開発支援助成金の制度が見直され、より、制度を利用しやすい内容に変更されています。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
特定技能外国人や技能実習生を受け入れる際に利用できる助成金もあります。外国人労働者は、言葉や文化の違い、日本の労働慣行に関する知識の不足などが原因で、日本での生活や職場に馴染めず、退職に至るケースなどが少なくありません。
厚生労働省の人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、外国人労働者の職場定着に取り組む事業者に対し、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行った場合の費用の一部を助成する制度です。
人材確保支援助成金(外国人労働者終了環境整備助成コース)では、賃金要件を満たしている企業に対しては、上限額を72万円とし、支給対象経費の2/3が助成されます。また、賃金要件を満たしていない企業は、上限額を57万円として、支給対象経費の1/2の助成を受けることが可能です。
支給対象となる経費は以下の通りです。
- 通訳費
- 翻訳機器導入費
- 翻訳料
- 弁護士・社会保険労務士等への委託料
- 社内標識類の設置・改修費
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用の労働者のキャリアアップを促進する助成金制度です。企業内でのキャリアアップを促進するため、有期雇用労働者を正社員化した場合や労働者の処遇を改善した場合などに助成金を受けられます。
中小企業の場合、有期雇用の労働者を正社員化した場合は、1人あたり80万円、無期雇用労働者を正社員化した場合には1人あたり40万円の助成を受けられます。
また有期雇用労働者等の賃金規定を3%以上増額改定し、その規定を適用させた場合には、増額した割合によって1人あたり最大6.5万円の助成を受けられるなど、さまざまなコースが用意されています。
外国人雇用を成功させるためのポイント
外国人雇用を成功させるためには、次の2つのポイントを押さえることが大切です。
法的手続きの確認とサポート
外国人の雇用にあたっては、日本人を雇用する場合に必要な手続きに加え、在留資格の確認や在留資格取得の手続き、外国人雇用状況届出書の提出などが必要です。不備の無いよう、サポート機関なども活用しながら手続きを進めましょう。
また、外国人労働者も入国後に住民登録や銀行口座の開設等の手続きが必要となります。慣れない国での手続きは外国人労働者の大きな負担となるため、個人が必要な手続きについてもサポートすることが大切です。
文化の違いを理解しサポートする方法
日本と外国では文化が異なるため、互いの文化を受け入れられない場合、日本人労働者と外国人労働者の間で誤解が生じる恐れもあります。
外国人労働者に対しても日本の文化や慣習などについて理解を求める研修などを実施する必要がありますが、日本人労働者も、外国の文化を理解し、受け入れる姿勢が必要です。そのため、日本人に対しても研修などを行い、外国人労働者を受け入れるにあたって必要な知識を準備しておくことが重要になります。
まとめ
外国人を雇用すると、人材不足を解消できるだけでなく、新たなイノベーションにつながる斬新なアイディアが生まれる可能性や海外進出をスムーズに進められる可能性など、さまざまなメリットを得られます。
外国人が慣れない文化と言語の中で生活や仕事をすることは簡単ではありません。外国人を雇用し、長く働いてもらうためには外国人が就業しやすい環境を作ることも大切です。外国人雇用の際に利用できる助成金制度も活用しながら、外国人労働者を受け入れる体制を整えるようにしましょう。
オープンケア協同組合では、外国人労働者の受け入れに役立つさまざまなセミナーや研修を開催しています。外国人の雇用を検討している場合は、お気軽にお問い合わせください。
\お客様相談センター(06-4708-6750)/