はじめに
近年、多くの中小企業が慢性的な人手不足に直面していますが、黒字経営を続けている企業ほど、新しい採用手段の模索が急務となっています。しかし、外国人労働者の雇用についてはこれまで検討したことがない、という経営者も多いのではないでしょうか。
この記事では、ハローワークを活用した外国人雇用の方法と注意点、求人登録から採用までの流れなどについてわかりやすく解説しています。
近年の日本の労働市場における現状や、技能実習制度を利用した具体例などについてもご紹介していますので、現在外国人雇用を検討中の方や人材不足でお困りの方は参考としてお役立てください。
外国人労働者を雇用する理由とは?
外国人労働者の雇用を検討するべき理由やメリット、具体例などについて解説します。
日本の労働市場の現状
厚生労働省がホームページで発表しているデータによると、日本の総人口は2065年に9,000万人を下回り、65歳以上の人口比率である高齢化率は38%台と、4割に近づくと予想されています。
生産年齢人口と呼ばれる15~64歳の人口も減少傾向となっており、少子高齢化による労働人口の減少は大きな課題の1つです。
同じく厚生労働省が2023年に発表した統計によると、国内における外国人労働者数は初めて200万人を越え、前年増加率も2022年の5.5%から2023年は12.4%に伸びるなど、2007年以来過去最高値を更新していることがわかっています。
このように、少子高齢化による労働人口の減少と慢性的な人手不足を解消する手段として、近年外国人労働者の採用が増えてきています。
国内での日本人雇用と比較して、外国人雇用にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
外国人雇用のメリット
外国人雇用で得られる主なメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
人手不足の解消
上記の統計からもわかる通り、少子高齢化による人手不足を補う方法として、外国人雇用を選択できる点は大きなメリットとなります。日本国内だけでなく、世界から採用を求めることで母数が広がり、企業にフィットするスキルを持った人物を採用できる可能性をより高めることができるでしょう。
インバウンド需要への対応
飲食業界や宿泊、観光施設など、人手不足に陥りがちな業種では人材を確保しやすくなるのはもちろん、インバウンド需要などの多言語に対応できる外国人を雇用できる点も魅力です。
採用コストを抑えられる
日本国内での求人採用だけを頼みとした場合、思うように募集が集まらない、採用しても退職者が出れば再度求人広告を出す必要があるなどの理由で、長期にわたって採用コストがかかってしまうケースも少なくありません。
外国人雇用も視野に入れることで対象となる母数が増え、採用が早期に決定すれば、採用時にかかるコストを抑えることも可能です。
また、条件によっては外国人の雇用で助成金が申請できる場合もあります。
特定技能・技能実習制度を利用した具体例
外国人を受け入れるための在留資格にはいくつか種類があり、代表的なものとしては「特定技能制度」と「技能実習制度」の2つが挙げられます。
【特定技能制度】
日本人の人手不足を補うための制度
【技能実習制度】
日本で技能を習得した外国人が、本国へ戻って技能を広めるための制度
それぞれ在留期間や受け入れ可能な職種などが異なるため、希望する業務に従事できる在留資格を選択することが大切となります。
外国人雇用を検討する方法としては、ハローワークや求人サイトを活用する方法、自社のサイトで募集をかける方法、外国人雇用の支援サービスを利用する方法などが挙げられます。
ここでは、上記のうちハローワークを活用した外国人雇用について、さらに詳しく解説します。
ハローワークを活用した外国人雇用の方法
ハローワークを活用した外国人雇用の方法は以下のようになります。
ハローワークでの外国人求人の出し方
ハローワークで外国人求人を出すには、事前に事業所登録を行う必要があります。事業所登録後に求人申込書を提出し、受理されれば求人票が交付されます。
外国人雇用サービスセンターの利用法
ハローワークで求人を行った場合、外国人からの応募者があれば、外国人雇用サービスセンターから連絡があります。
外国人雇用サービスセンターとは、外国人労働者や外国人雇用を希望する企業をサポートする目的で設置された国の機関で、現在東京、名古屋、大阪、福岡のハローワークに設置されています。
外国人雇用サービスセンターでは、希望の業務に従事可能な在留資格を確認したい場合や、技能実習制度から特定技能制度への変更手続きなどについて相談することも可能です。
企業向けのセミナーなども随時実施しているため、最寄りにセンターがある場合は問い合わせてみましょう。
手続きや必要書類の準備
選考後に外国人の雇用が決まったら、外国人雇用サービスセンターへ採用の通知を送ります。その他、必要となる主な書類には「雇用契約書または労働条件通知書」や「外国人雇用状況届出書」に加え、雇用保険へ加入する場合は雇用保険被保険者資格取得届も必要となります。
その他ケースによって必要な書類は異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
ハローワークを利用する際の注意点とよくある誤解
ハローワークを利用する際の注意点とよくある誤解について解説します。
手続きミスによる罰則や届出の忘れ
ハローワークを活用して外国人雇用を行った場合、外国人雇用状況について必ず届出を行うよう法律で定められています(雇用対策法第28条)。
届出を忘れたり、虚偽の報告をしたりした場合、30万円以下の罰金が科される可能性があるため注意しましょう。(※外国人が雇用保険に加入する場合は届け出不要です。)
在留資格の確認方法
雇用しようとする外国人の在留資格を確認する方法としては
- 在留カード
- パスポートの上陸許可証印
- 就労資格証明書
などが挙げられます。
外国人雇用状況の届出書には在留カードの番号を記入する欄があるため、必ず確認するようにします。「在留カードがどんなものか見たことがない」「ミスなく記入できるか自信がない」という場合は、外国人雇用を支援するサービスを活用するのも1つの方法です。
外国人雇用について詳しく知りたい際は
「オープンケア協同組合」へお気軽にお問い合わせください。
\お客様相談センター(06-4708-6750)/
外国人雇用を始める際のステップ
ハローワークを活用して外国人雇用を始める際のステップについて解説します。
求人登録から採用までの流れ
求人登録から採用までの大まかな流れは以下のようになります。
- ハローワークで事業所登録を行う
- 求人申込書を記入する
- 応募者があれば選考を行う(書類選考、面接)
- 採用が決定したら、ハローワークへ通知を行う
雇用後のサポート体制の整備
採用後は外国人雇用状況届出書や雇用契約書など、各種必要書類をハローワークへ提出します。雇用後の不明点などについては、事前に外国人雇用サービスセンターへ問い合わせたり、相談したりするなどして、サポート体制を整備しておくようにしましょう。
ハローワークや外国人雇用サービスセンターは無料で活用できるサービスですが、ケースによっては希望するサポートが受けられない場合があるかもしれません。
不安な場合は、外国人雇用のサポートを行っている民間の機関へ問い合わせてみることをおすすめします。
終わりに
少子高齢化による人手不足の解消方法として、外国人雇用は今後拡大すると予想されます。
ハローワークを活用して採用することも可能ですが、手続きや届出、在留資格の確認などに不安がある場合は、オープンケア協同組合へお気軽にお問い合わせください。
\お客様相談センター(06-4708-6750)/